2022年11月 [kthn-0002]
 詞曲・歌・ピアノ : 高見澤 淳子
 
[Track]
 01  Improvisation 1
 02  5 秒後の音楽
 03  ささやか ささやき
 04  虫の話
 05  新緑
 06  7月
 07  静か
 08  バス
 09  ハルジオン
 10  Improvisation 2
 11  六花
 12  揺れながら
 13  なつのこたち
 14  Improvisation 3

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CD:¥3,300 + 送料¥200
ダウンロード(ハイレゾ96khz):¥3,000
(税込)

※このアルバムは100%太陽光エネルギーで録音されています。


ピアノと歌で綴る 時の実りを愉しむための 14篇

ピアノ弾き語りでの初めてのアルバムです。

3年前、100年前に作られたピアノに出逢い、そのピアノからより陰影のある音のタッチを教えてもらいました。

古く新しい相棒と対話をしながら、そばで話しかけるように歌いたいと耳を凝らして、自分なりの弾き語りを重ねました。

コロナのあいだにお隣さんの土地で畑をさせてもらい、土や草や虫に触れると、本能が喜ぶような感覚を感じて、日々大きく影響を受けています。

生き物としてせわしかったこの10年ほどの曲を集め、ピアノアレンジにたくさんの情景や自然の音を織り込みました。

今は違うもののように存在するさまざまが、混ざり合うことを願いながら録音しました。

みなさんの耳に響きますように。
そしてやわらかな時がながれますように。
                      高見澤 淳子

*
14 pieces to enjoy the fruits of time spelled with piano and song

This is my first album with piano accompaniment.

Three years ago, I came across a 100-year-old piano, which taught me the touch of a more nuanced sound.

While having a dialogue with my old and new partner, I listened carefully to sing as if I was talking to you by my side, and I played and narrated in my own way.

During the coronavirus pandemic, I was allowed to farm on my neighbor’s land, and when I touched the soil, grass, and insects, I felt my instincts rejoice.

I collected songs from the past 10 years, when I was a busy living being, and incorporated many scenes and sounds of nature into the piano arrangements.

I recorded it while hoping that various things that exist like different things now will mix.

I hope it resounds in your ears.
And may the time pass gently.

Junko Takamisawa


《CD 帯コメント》
透ける花びらの肌
指の間からこぼれる砂つぶ 蝶の羽ばたきが散らす光 ・・・
庭宇宙と 家族と ひとりの景色
    石田 紀佳(フリーランスキュレーター/手仕事研究家)

《装丁画》
上野=リックス、フェリーツェ・“リチ” スターバー:
壁面装飾デザイン[秋の実り]1930 京都国立近代美術館所蔵
Photo:The National Museum of Modern Art, Kyoto

*
《CD band comment》
Translucent petal skin
Grains of sand spilling from between my fingers Light scattered by the flapping of a butterfly’s wings…
View of the garden universe and family and her alone
Norika Ishida (freelance curator/handicraft researcher)

《Book cover painting》
Ueno-Ricks, Felice “Lici” Starber:
Wall Decoration Design [Autumn Harvest] 1930 Collection of The National Museum of Modern Art, Kyoto
Photo: The National Museum of Modern Art, Kyoto


video

025秒後の音楽
 Animation / Cinematography :Ai Chikamori(plaplax) https://plaplax.com
 Direction / Landscape Cinematography :Katsuya Takamisawa


ダイジェスト(02 5秒後の音楽, 03 ささやか ささやき,
       04 虫の話, 06 7月, 12 揺れながら)


Sample

sample 01 improvisation 1

sample 08 バス

sample 09 ハルジオン


「季節」に寄せて


            石田 紀佳
    (フリーランスキュレーター/手仕事研究家)

ああ、こんな気持ちにわたしもなる、と淳子さんが季節を綴る言葉にうなずき、彼女の家族たちの仕草が庭を背景に浮かび上がる。

そして、音が流れ出す前や流れた後の静けさが秘める豊饒さに耳を澄ます。

「5秒後の音楽」での「音を待つときその間こそ、ここ全部が音楽になる」や、「六花」での風が止んだ静寂のときに知る「出会いの奇跡」、「静か」の寝息など。

たしかに視覚的な世界にも、白黒写真や古びたモノにこそ、色つやが映ることがある。足りなかったり少なかったり、弱かったり、なかったりすることの豊かさがある。

でもここ最近のわたしの現実はどうだろうか?
モノもコトもめまぐるしく多く、大切な何か…「思い、感じる」を見失って、聞きそこなっていた。

けれども、幸いなことにこの文を書くために、ただひたすらに「季節」を聴く時間に、わたしはそれを取り戻すきっかけをもらった。だから、皆さまにも「季節」の歌とピアノに包まれてほしい。
きっと曲と曲の間に懐かしい景色や内なる声が聞こえるはずだから。

「ハルジオン、ツユクサ、ヘビイチゴ、ブルーベリー、ヒマワリ…」

淳子さんの弾き語りは概ね優しい音色なのに、ときに驚くほど逞しいピアノの音がある。
わたしは彼女の野良仕事ぶりを彷彿して納得するが、彼女の日常をご存知ない方は野良と聞いて驚かれるだろう。
じつは、彼女はひとりで土を掘り起こして巨大な渦巻く畝花壇をつくるほどのガーデナーだ。ピアノを弾く指を怪我したらどうするんだろうと、こっちが心配するような。
でも、ひょっとすると、この人は土とともに音になる前の粒を掘り起こしているのかもしれない。いや、そうに違いない。

「人生の中で今の自分を秋のように感じたり」という淳子さんは、今、実りの季節の入り口にいる。


          武田 こうじ(詩人)

人と人とのつながりに「距離」をとることが当たり前になってしまった現代。
そのことを動物たちは、鳥たちは、自然は、季節はどのように思っているのだろうか。

改めて、あなたと過ごすこと、あなたにふれることを考える「時間」をつくっていく。

家族というあなた。
友人というあなた。
ともに働く仲間というあなた。
ただ、すれちがう時に挨拶を交わすだけの近所に住むあなた。
わたしというあなた。

このアルバムは、そんな小さな「距離」と「時間」の積み重ねが自分にとって、かけがえのないものだったということを思い出させてくれる。

髙見澤淳子の声と音に耳を澄ます「時間」。
それはあなたとの「距離」をあたためてくれる、やさしさについて考えること。


          山本 勇樹(選曲家)

音楽を聴いて、自然と風景や景色が浮かんでくるとき があります。
高見澤淳子さんの音楽にも、そんな魅力を感じます。

風がそよぎ、光がこぼれ、水がはじけるように、繊細かつ生き生きとした演奏に心が奪われます。
また一音一音が織り成すリリカルな旋律にも、どこか懐かしい哀愁をおぼえます。

移りゆく季節を、美しく演出してくれる作品だと思います。

 

 



渋谷 直人(エンジニア)
録音作品:大貫 妙子 & 坂本 龍一「UTAU」
       矢野 顕子「Soft Landing」など多数

録音はあきる野の空気に馴染むところから始まりました。

事前に何度かあきる野に訪れる機会をいただきました。
これが今回の録音の重要なポイントだったように思えます。

何度か訪問し録音用に環境をアップデートする。
「場」が整ってくると高見澤さんがそれに順応していく。
そして本番前には高見澤さん自身が「音場」の空気を支配する形に。

高見澤さんのプレイは、大きなやさしさに包まれています。
そこには、力強さ、しなやかさ、切なさ、厳しさが内包されています。
そしてその外側には、あきる野の清々しい空気と澄みきった高い空。

天気も味方してくれました。(録音的に雨だとちょっと、、、)
あきる野の自然環境が録音を、いや高見澤さんを応援してくれたように思えます。


Recording scenery

2021年11月 高見澤音楽室
エンジニア:渋谷 直人(PIXIE LLC)
アシスタントエンジニア:菊池 信哉

  


CD Jacket

製作:竹内紙器製作所
装丁画:上野=リックス、フェリーツェ・“リチ” スターバー:
    壁面装飾デザイン[秋の実り]1930 京都国立近代美術館所蔵
    Photo:The National Museum of Modern Art, Kyoto
デザイン:上田 真未
ブックレット写真:近森 藍(plaplax)